LHSルールのデッキ選択

GL出れないしここらへんを参考にしつつ色々考えてみる.ちなみにRead2Winの参照元ここ,Nubaのガイド.

LHSとはLast Hero Standingという意味で,プレイヤーは2本先取(Best of 3)なら2人,3本先取(Best of 5)なら3人のヒーローを使い,倒しあって最後に残っていたヒーローを使ってた人が勝ち,ということ. "Best of"はBoと略して,Bo3とかBo5という言い方をすることが多い.

まぁ同じヒーロー使えないのは,同じデッキを何度も使うのがアレ,っていうことで, ヒーローが違わないと違うデッキだと保証できないことを考えると妥当なルールじゃないの,という感じ.

基本的な話

デッキタイプ

デッキタイプについてはおおまかにアグロ・コントロールとアグロコントロールという把握.

アグロ・アグロコントロール・コントロールとは?

アグロはZooやFaceroll Hunterなど.コントロールはHandlockやPriest Controlなどが典型的で,基本的に受けるしかないデッキ. アグロコントロールはミッドレンジのシノニムだけど,まぁアグロに対してコントロールし,コントロールに対してアグロするデッキであり,アグロもコントロールもできる選択肢があるもの.

互いにアグロや互いにコントロール,という試合では原理的に片方がアグロ(攻め側),他方がコントロール(受け側)になるので,全部のデッキがアグロコントロールと定義できなくはないけども, そういう場合でもアグロになったら勝てないのがコントロール,コントロールになったら勝てないのがアグロ,という感じ.

本質的にそのデッキがアグロかコントロールか,ということは相対的なもので,結局は「対戦相手に対してどう対応すべきか?」つまり「攻撃すべきか?防御すべきか?」という意思決定の問題.

アグロかコントロールかを決めるもの

基本的には攻撃カードと防御カード,そしてどちらにも使えるカードの枚数比率に依存する. 大まかには,Chargeやヒーローへのダメージスペルが攻撃カード;ミニオン除去(特に範囲除去),Tauntや回復が防御カード.
ドローはどちらとも言えるが,ドローのみのスペルは一般的には(テンポロスという意味で)コントロール的なカードだと思う.

また端的にカードパワーが弱い側がアグロ・カードパワーが強い側がコントロール,という話も見たことがあるけどどこだったか忘れた.

アグロは使ってて自分の場にミニオンを置きたくなるデッキ,コントロールは使ってて相手の場を倒して綺麗にしたくなるデッキ,というのも大雑把な理解としていいと思う.

一般的に言えば,防御カードにはテンポロスする.その分テンポが早いアグロデッキに対してコントロールデッキは弱いことが多い.もちろん防御がうまく間に合えば勝てるが.
他方でアグロコントロールデッキは,アグロほど攻撃カードが多くなく,攻撃が早くもない.従ってコントロールの防御カードに受け切られやすく,不利になりがち.もちろんデッキタイプや採用カードによる.
アグロコントロールは攻撃カードで相手の攻撃カードを相殺することができ,コントロール力で勝るがためにアグロに勝ちやすい.

デッキバリエーション

もちろんデッキバリエーションによってこれらは大きく変わる.
例えばドルイドではTauntばかりを積み込み,Nourishまで積んでしまえば完全にコントロールと言える.
他方でArgent Commanderを積めばアグロ寄りにもできる.

ドルイドは固有カードやヒーローパワー的にも本性的にはコントロールよりのヒーローだが,アグロ寄りアグロコントロールにもできるし,思い切りコントロール寄りにまでできる. 今流行のチャージドルイドとかミッドレンジドルイドと呼ばれるタイプは,確定除去のないドルイドがアグロ側にならざるを得ないマッチアップ,例えばミラクルローグやハンドロックを考慮し,攻撃カードを採用することで戦いやすくしている.

単純にカード一枚一枚にも攻撃的な性能,防御的な性能というそれぞれがあり,同じデッキタイプとしてひとくくりにされるようなデッキでも採用カード一枚一枚によって性質が変わってくる. Faerie Dragonは攻撃的であり,Loot Hoarderは防御的だ. cf.) Hearthside Chat和訳

この話を長々と続けてもしょうがないので,以下では大会に採用されるようなデッキに絞って話す.

メタデッキ

7月第一週のトップクラスデッキ

先に挙げたガイドでNubaが言うところのメタデッキは以下のとおり. Bestは受けが広く勝率を確保できる先鋒向きのデッキ.MidはBestデッキに対するカウンターを含む採用圏内のデッキ,Worstは明確な弱点があるデッキ.

その他フェイスアグロはShockadinと言われるアグロパラディンや,テンポローグ(僕はアグロコントロールだと思うけどBestデッキに対してアグロするしかないのでアグロ扱いなのだろう)など.すべて顔面を殴るタイプのアグロ.

コントロールドルイドは先に述べたような分類において.防御カードを採用しまくったドルイドという意味だろう.

メタデッキのデッキタイプ分類

ざっと並べて見れば,BestやMidには全抜きが期待できるデッキが揃っている.

デッキタイプの分類という観点から見ると,アグロコントロール=ミッドレンジは全般に評価が高い.これは受けの広さがまずひとつで,一般的にはアグロコントロールのほうが柔軟に広く戦え,うまくドローをできればアグロ,コントロールどちらにも対応しやすいためだろう.
特にミラクルローグは,ローグというヒーロー本来の「アグロ寄りアグロコントロール」としての性能をそのまま活かしつつ,Gadgetzan Auctioneerによる圧倒的ドローによってコントロールにおいても絶対的なパワーを持ち,現在ハースストーンにおいて最強のアグロコントロールとして君臨している.ただしコントロール性能を5マナのオークショニアに依存しているためにアグロ耐性をやや落としているといえる.
ドルイドはChoose One能力による対応力の広さ,パラディンは豊富な固有カードの回復が流行のキルコンボに対するカウンターになることが強み.

またコントロールではコントロール最強と言っていいハンドロックがbestでありウォリアーがmid,アグロではアグロ最強と言っていいZooやアグロハンターがそれぞれmidに入っている.
アグロ・コントロールの両極端にあるデッキは,その中でも強いデッキが選ばれてくる形になるだろう.ハンドロックはコントロールとはいえジャイアントの火力だけでゲームを終わらせられる圧倒的なミニオンスペックがやはり強いし,ミラクルローグへの回答になるのが大きい.

あとで詳しく述べるが,Bo3においてはやはり扱うすべてのデッキに相手を全抜きできるだけの性能が求められる. 言葉を変えれば,負ければ後がない時点で相手の特定のデッキに対するカウンターとしてしか使いようのないデッキ(それに対する明確なカウンターがあるデッキ)を使えるシーンは少ない. 他方でBo5やBo7になってくればカウンターデッキにも出番が出てくる.

マッチアップとカウンターデッキ

カウンターデッキ

すべてのデッキに対して優位なデッキというのは存在せず, 従ってあるデッキに対しては,必ずそれに有利なデッキ,つまりそのデッキに対するカウンターデッキが存在する. そして,プレイングが正しければカウンターデッキを使う側は勝率5割以上を確保できる. そういうものがカウンターデッキである.

相手に対してカウンターデッキを当て続ければ確率的には勝てるわけだ. だがカウンターデッキで倒した相手にはデッキ選択権があり,こちらは同じデッキを使い続けなければならない. そして相手が自分のデッキにカウンターを当ててきて負け,カウンターを当て返す.

という風に延々続くわけではなく,こうやって取り合っている場合は初戦で勝った人が勝つことになる. ここにいわゆる「受けの広いデッキ」の強さが出る.初戦,何が出てくるか予想ができないときにも, 多くのデッキによい勝率を確保できるデッキがbestデッキということになる.

また,カウンターデッキにもその勝率によって強いカウンター・弱いカウンターというものがある. 以下それについて話す.

強いカウンター・弱いカウンター

原文では"hard counter" or "direct counter" / "soft counter" という術語が使われている.

例えばシャーマンに対しては,有名なカウンターデッキとしてアグロハンターがある. まぁ色々と相性を形作る要因はあるのだけど,やればわかるとおりシャーマン側にはほとんど全く勝ち目がない,くらいの相性差がある.こういうのを強いカウンターという. もちろん例のUnleash the Houndsの弱体化によって相性差はかなり改善してきたけれども.

あるいはミラクルローグに対するフリーズメイジとかが強いカウンター. 思い切り弱点を突く極端なデッキで,勝率差も激しい.

一方で弱いカウンターというのは,絶対的な相性差はないけれども微有利であるようなデッキのことを言う. どういうシーンで弱いカウンターを使うかといえば,1負けして相手のデッキ2つを1つのデッキで倒す必要があるようなとき.

弱いカウンターの例としては,ミラクルローグに対してのハンドロックとか,ハンドロックに対してのシャーマンとか. 絶対的に無理,というデッキ. ミラクルローグはほぼすべてのデッキに対して弱いカウンターになっているとも言えるかもしれない.

マッチアップとメタカード

何が何のカウンターデッキになるか?という問題は結局はマッチアップに対する理解度の問題である.

主要なデッキについてはある程度の回数相手にして戦うか自分で触るかして把握しておくことが重要だろう.

相性が分からなくても大まかに考えて,自分がどういうデッキか,その得意分野を十分に引き出せる相手は有利,苦手なことしないといけないデッキは不利,という感じで考えれば次第にわかるかもしれない.

試合形式とデッキ選択

さて.や っと本論.前置きめっちゃ長いのは癖なので,すいません. ちなみにBo7はやったことないのでわからんので省きます.

Nubaによると,基本的に考えるべきことは

  1. 相手の現在のデッキに対して弱いカウンターか?強いカウンターか?
  2. これはBo3か?Bo5か?
  3. これが最終ゲームか?そうでないか?
  4. 最終戦でないとき,自分が勝った後相手が持ってくるデッキはどういうものか?

の4つということだ.これを頭に入れつつ,Bo3とBo5に対して色々と考えていく.

これらの問に対しての先にNubaの回答(翻訳は自分)を述べておく.

  1. Bo5ではある特定のデッキに対する強いカウンターを弱いカウンターとして先鋒で使うのはあまりやりたくない.戦闘数が少ないBo3ではそういう傾向は少なくなる.
  2. Bo3ではベストをそのままぶつけるのが正しい.Bo5ではその時点の最良の選択肢でも,後のゲームのために温存するのはあり.
  3. 強いカウンターデッキにはそれに対する強いカウンターデッキが存在することがあるため,明らかな弱みのあるカウンターデッキは最終戦の時に限って使うべきだ.
  4. 相手がプレイしたデッキ・ヒーローを覚えておくことがまず大事.相手の出せるデッキを絞っていき選択すべきだ.

Best of 3

Bo3は2回負けたら終わりで,従って一度負けた時点でWorstランクのカウンターデッキを出すのはかなり難しい. 従って弱いカウンターにしかならないにしても受けが広いもの,BestかMidから相性によって全体としてチョイスしていく形になる.

基本的には先鋒で確実に1勝を取ることが求められる. 先鋒として適性があるのは不利なマッチアップを食い破ることができるパワーの有るデッキ,ミラクルローグやハンドロックあたりが適していると言えるだろう.Zooやウォリアーコントロールドルイドなど絶対的な苦手が存在しないデッキも良い.

また相手も同様のことを考えるであろうことを予想すれば,先鋒でアグロハンターやフリーズメイジなど,カウンター的なmid,worstデッキが出てくることは少ないだろう,と考えれば,それらを恐れて選択を変える必要はない. シャーマンなどもあり.

先に一勝できれば,負けても出てきたものに対して直接カウンターを当てていけばよい.後の試合のことを考えなくて良いので楽.

先に一敗してしまった場合は話が難しくなるが,結局は先鋒同様の基準でデッキを選択していくしかない. 再び負けてしまっては元も子もないので,相手のデッキに対して弱いカウンターになるようなものを選ぶのが良いだろう.どうせどんなデッキを使っても相手はそれに対するカウンターを出してくるのだ. 2番目のデッキに対するカウンターは諦めるしかない.

Bo3でのデッキ選択の一例

先鋒ミラクルローグを出していく.相手先鋒は弱いカウンターであるハンドロックだった.

これに勝った場合は相手のアグロハンターなどに対して負けてもコントロールドルイドやウォリアーコントロールを出すなどが必要になる.

これに負けた場合はシャーマンやアグロハンターなどを出すことになる.
これらはハンドロックに対する弱いカウンターになっている.この場合ドルイドを出すのはあまりよい選択とはいえない.基本的にドルイドはハンドロックに不利になりやすいため.とはいえBGHを2枚いれてるとか,その後の全抜きを考慮するとか考えるならありえなくはないが,そうして勝っても相手はドルイドに対して有利なデッキを出してくるわけで,勝率は間違いなく下がる.

アグロハンターはヒール型パラディンやウォリアーコントロールが強いカウンターになる, シャーマンはアグロハンターなどが強いカウンターになる.とはいえそれぞれ勝てないことはないし,ここらへんは諦めるしかない. シャーマンであればAcidic Swamp Oozeを入れるなど,強いカウンターに対する対策カードを仕込んでおくというのもあり.

デッキ事前提出制とか

Bo3の場合は,「採用デッキすべてに対しての強いカウンターデッキ」が存在しないように考慮しつつ,基本的には受けが広くパワーの高いデッキを揃えておくのが良いだろう. 原則Bestからとっていく,バランスのためにmidを考える,という程度で,Worstのデッキはほぼ採用できないと思っていいだろう.

例えばミッドレンジドルイド・シャーマン・アグロハンターという構成.
先鋒にドルイドを出して,弱いカウンターになるミラクルローグ・ハンドロック・シャーマンに負けた場合はアグロハンターやシャーマンを当てる,ということができたり,
あるいは先鋒にシャーマンを置き,強いカウンターであるアグロハンターをミッドレンジドルイドで,弱いカウンターになるミラクルローグをアグロハンターで受けるなどが考えられるか.

良くない例としてはミラクルローグ・ハンドロック・シャーマンという構成か.この構成だと全体としてアグロハンターに弱い.この構成でいく場合はどれかのデッキにアグロハンターへの対策カードを入れておく必要があるだろう. この場合だとシャーマンを外してドルイドパラディン,ハンターあたりだろうか.あるいはハンドロックをZooにするのもありに思える.

Best of 5

Bo5は二回まで敗北できる. 従って先鋒を落としても(無論不利だけど)Bo3ほど難しくはない.

相手のデッキにうまくカウンターしていくことが重要だし,また極論すれば先鋒を捨て,相手の出方を見た後(弱い)カウンターになる強いデッキから入って連勝して返す,という手法も可能ではある.

アグロ・アグロコントロール・コントロールの3つを軸にそれぞれ極端なものを揃えておき,アグロにアグロコントロール,アグロコントロールにコントロール,コントロールにアグロ,と当てていく方針なども考えられる.
相手デッキがコントロールに偏っていればアグロコントロールを捨てつつアグロで全抜きするなども考えうる.

もちろんBo3同様に単体で強いデッキばかりでもいいが,全体的なバランスも考えた上でデッキ選択することが重要になる. また,同様に,デッキをどの順番で出すかも全体のバランスを考慮する必要性がある.

バランス?

例えばA.【ミラクルローグ・ハンドロック・ミッドレンジドルイド】とB.【ミラクルローグ・ハンドロック・アグロハンター】という構成ならBの構成が優れているように思う.

また,Aの構成を用いる場合は原則的に先鋒をハンドロックにしてはならない.ハンドロックはAの構成において唯一の「ミッドレンジ以外」であるためだ.ハンドロックで負けると相手コントロールデッキに対する対処に困るハメになる.

例をあげよう.先の2つの構成同士で戦った場合を考える.
Aが先鋒ハンドロックを出し,B先鋒ミラクルローグをうまく倒せたとしても,次のBのアグロハンターでハンドロックが倒されてしまえば,残りの2つのデッキは(アグロハンターをそれほど得意としない上に)ハンドロックに対して弱いために苦しい戦いをすることになる.
Bの先鋒がアグロハンターの場合はより悪い.Bの先鋒がハンドロックならまぁなんとかなるかもしれないが,普通Bの構成ならミラクルローグを出すだろう.

Aの先鋒が例えばミラクルローグであれば,先鋒戦のミラクルミラーで(負けたならハンドロックを出すしかないが)勝てればハンドロックを引きずり出してハンドロックミラーで戦う道が開ける.

Aの構成はどういう先鋒の出し方をしたところで,負けてハンドロックを引きずり出された上でそれをカウンターで潰されると厳しいのがよくない. まぁあとAは全般的にZooに弱く,デッキの2つがアグロハンターに弱いのも微妙.

個人的にはアグロ・アグロコントロール・コントロールの3つをまんべんなく揃えておくのが良いのではないかと思っている.アグロを嫌ってミッドレンジを増やすのはありだろうけど,その場合は弱点が揃わないようにしておくのが良いのではないか. ミラクルローグ・ミッドレンジドルイドにウォリアーコントロールをあわせるパターンとかはコントロールデッキがハンターに弱くないのが良い.

実戦の例としては色々あると思うし僕も海外の大会まで追えてるわけではないです.

3行まとめ

  • アグロ>コントロール>ミッドレンジ>アグロの三すくみ
  • Bo3はデッキパワー
  • Bo5はバランス

さいごに

ここまで読んだ方はお疲れ様でした.僕も疲れた.

今回はデッキをアグロとコントロールに大雑把に分類したため,多分デッキ速度とかダメージをどう出すかとかそういうものは全部ごった煮にしている. とはいえデッキ選択など意思決定というのは全体像を見てから徐々に細部に注目していくことだと思っているので,このくらいでもいいと思うよきっと.

全体的に"Who's the beatdown?"というM:tGで有名らしいコラムの考え方を適当に噛み砕いて参考にしている. ググれば和訳もいくらでもあるので読んでみるといいと思います.アグロとコントロールの分類は根本的にこの文脈のつもりでいる.コントロールデッキ使ってても自分よりコントロールなデッキに対してはアグロしなきゃいけないんだよ的な.
"Who's the beatdown?"はハースストーン版も英語でならある.これです.誰か訳して.ちなみにこの記事のことを知ったのはeスク大会で優勝したmasamさんのブログからだ.

前回7/3のJCGオープンクラスでは,Bo3初戦で先鋒ミラクルローグを出してミッドレンジドルイドに負けて,カウンターとしてシャーマンを出したけど,強いカウンターとしてのアグロハンターを考えるとあまり良くなかったかもしれない.

ひたすら自分の考えを述べただけだしまとまってないけど,こういうとりとめのない記事が日本語で増えるといいと思うし僕が読みたい. 誰かの参考になれば幸いです.